{霧の中の恋人}


頭痛が治まった久木さんは、大丈夫の一点張りで、結局家に帰ることにした。


バスに乗り、駅に着いたところで異変に気がついた。


…んっ?改札が閉まってる?


一つしかない改札口にロープが引かれていた。



「あれ?なんでロープなんて…」


「おんやー、もう最終の電車なら行っちまったよ~?」


改札口の中の駅員室の中からおじさんが出てきた。


「えっ!?最終って?」


「だから、今日の電車はもう終わり!
さっき最終の電車が行っちまったばかりだ。
さぁ~、帰って一杯やるかぁ~!」



おじさんは嬉しそうに制服の帽子をとった。


最終の電車って、まだ5時を過ぎたところでしょ…

お酒を飲むにもまだ早い時間で……



「最終の電車、5時10分になってるぞ…」


時刻表を指さしながら久木さんが言った。


うそっ………。