ようやく笑いが治まったらしい彼は、目じりに溜まった涙を指ですくった。
「もうっ、そんなに笑うことないじゃないですか!」
「君が変なことを言い出すのが悪い」
「変なことって…!」
本当に失礼しちゃう!
「それにしても…本当に綺麗な花ですね…」
濃い紫色で、すごく綺麗…。
蘭の花って、育てるのが難しくて高価なものだから、こんなに咲いているところを見たことがない。
「きっと、ご両親はこの紫蘭の花のような人間になって欲しいって思ったんでしょうね…」
丈夫で強くて、たくましく、美しく───
紫蘭の花のように───…
「”どうか強く生きていって欲しい。
私達は、愛するあなたの事を忘れたりはしないから─”
…そんな風に、ご両親は言ってる気がします…」
…………やだ…。
私、なんでこんなに熱く語っちゃってるんだろう。
恥ずかしくなって「なーんて…ね」と言葉を付け加えて振りかえると、久木さんは目を見開いて茫然としていた。


