{霧の中の恋人}


その空間の真ん中には、ちょっとした泉があり、小さな滝が流れている。


そして、その泉を取り囲むように南国の花が咲き乱れ、花畑ができている。



花畑の中から、ムラサキ色をした花を見つけた。


この花を見る為に、ここまで遥々やって来たのだ。



私はその場にしゃがみ込み、その花にそっと触れる。





「久木さん…
この花、”紫蘭(シラン)”っていうそうです」



「シラン…」



「そうです。
久木さんと同じ名前の花なんです。
そして、この花の花言葉は……」




久木さんを捨てたというご両親。

久木さんの名前をつけたのも、きっとご両親。


きっと、久木さんの名前には意味がある。








「あなたを忘れない」