バスに揺られること30分、ようやく最終目的地に着いた。
「ここです」
久木さんは目の前の看板を目にした瞬間、すぐに顔をしかめた。
「……植物園?
まさかここに来るために、こんな遠いところまで来たというのか?
悪いが帰らせてもらう」
くるりと方向転換した久木さんの腕を掴んだ。
「待ってください!
中に入れば分かりますから!」
「うるさい。
君の少女趣味に付き合っている程、俺は暇じゃないんだ。
入りたければ、君1人で入れ」
「でも!
今バスが行っちゃったばかりですから、あと1時間は来ませんよ」
「…………」
ピタリと動きが止まった久木さんの腕を引っ張って、中に連れ込んだ。


