私は携帯電話を手に取り、彼に電話をかけた。

視線の先にいる彼は着信に気付いたけど、電話に出ることはなかった。


私といるときは平気で電話に出て、友達と長電話をしていた彼。

そっか。
その人は大切な人なんだね。

ごめんね。
私はバカだから、いつかあなたの一番になれるんだと信じてたんだ。
あなたとずっと一緒にいられると思い込んでたんだ。

まだしばらくあなたの事を忘れられそうにないから、もう少しあなたを好きでいさせてください。


「さようなら。 ありがとう。・・・・・・ごめんね。」
人ごみに消えていく彼の姿を見ながら心の中でソット呟いた。