「の・・・残ってくれてありがとな・・・」

「い、いいよ、別に・・・」

「それにしてもホント参ったよ・・・」

「・・・・・・」

「なんつーか・・・お前と同じ目に遭って・・・はじめてお前のキモチが分かったよ・・・」

「まぁねぇ、入院生活なんて誰でも経験するわけじゃないし、自分がなってみたいと分からないもんだよ」

「そのこともだけど・・・」

「え・・・?」

「あのとき、俺にひどいこと言われて、南野がどんなに傷ついたかってことが、同じ目に遭ってはじめて分かったんだ・・・」

「“同じ目に遭った”って・・・?」

「俺が骨折した理由は、さっきも聞いたと思うけど、バスケの試合中、無理な“ダンクシュート”を強引に決めたせいだ」

「うん・・・」

「じゃあ、そもそもなんでそんなダンクをしたのかっていうとだな、ソレは俺があるオンナにカッコイイとこ見せようとしたからだ」

「あるオンナって・・・?」

「バスケ部のマネージャー」