『お前さ、あの店行ったの初めてじゃないだろ』




「へ?うん」



そうだけど


それが何か?




『お前のあの場所での思い出はあの晴臣とかいう奴の思い出だろ
…何だか俺の知らない由香里をあいつが知っているような気がしてさ

その…何と言うか…それが嫌で

今日は由香里と初めてデートしたって言うのに他の男の名前が出てきたことにもいらだってさ…』




そこまで言うと額を押さえて

あ゛~!もうこんなことしないから本気でごめん!




顔を真っ赤にさせながら言った





な、何だか



彼方が可愛いっ!







いつの間にか

私は口許に笑みを浮かべていた







『な、何だよ、笑うなよ』


よく見たら
耳まで真っ赤だ




「いや、だって彼方可愛いなって」



言ってからしまったと思った




だって

彼方の口角がニヤッと意地悪な感じに上がってたんだもん