PURE~君想う空~

そして日曜日。


「亜紀、そこのお酢取ってちょうだい」

「はぁい。」


母が今、張り切って作っているのは、
散らし寿司だ。


我が家は、何故かお客さんを迎える時、母の散らし寿司と決まっている。




パクッ。




「うまっ!」


錦糸タマゴをつまみ食いした。


「こら、亜紀。
つまみ食いは止めなさい!」


寿司酢を作りながら母が私を注意した。

「味見しないと、辛かったらどうすんのよ?」


「砂糖と塩を間違える程、ボケてませんよ。」


「それは、良かったね。」


二人で、顔を見合わせて笑った。