胸が、熱い。 指先からその熱が伝わりそうな程。 漆黒の濡れた髪は、水滴を指先に残しながらスルリと離れてしまう。 「…お嬢様、手が濡れますのでお止めください」 麗のその声に、ハッと我に返る。 「ごっごめんなさ…、あたし…」 慌てて引っ込めた手からは熱は引き、代わりに恥ずかしさでいっぱいになってしまう。