「ね、麗。少しだけ…温室に行っても良いかな?」

その言葉に麗は優しい顔を見せ、いつもよりも小さい声で「子猫のことですか?」と言った。


「濡れちゃわないか気になって…」
「心配ありません。お嬢様のたいせつなものは、私が丁重に預からせて戴いております」

「え…?」


預かる、という意味が分からずに居ると、麗が私室として使っている隣の部屋に案内された。

アンティーク調の家具が並ぶ中を見て回ると、ソファの下に潜り込んでいたステラが小さく鳴きながら現れた。

「ステラ!?なんで…」
「…ここならお嬢様もいつでも会えますし、ダンボールで暮らすよりも良いかと思いましたので」


「でもっ、お父様に知られたら…」


麗は「どうなるんでしょうね」と呟きながら、気にも止めない様子でにこにこと笑っている。