あたしと世那の夏は
もう始まっていた。











「莎和〜」


世那が来て10日。


こっちの生活に
すっかり慣れたみたい。


「何?」







あたしのことも
呼び捨てにするようになった。





「扇風機〜」




しかも勝手に
ベランダから入ってくるし…



まぁベランダ繋がってるから
しょうがないかもだけど。







「使ってる」





あたしと世那の部屋には
クーラーがない。





「ちぇっ……」











「うちわで我慢しな。
貸してやるよ。」