ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~




だけど、

オレの知らない間にコトは起こっていた。



それは、
クミちゃんが現場を離れる前日のことだった。



「高岡さん」

ちょうど他の監督さんも
みんな現場に出ていた時に

クミちゃんに話しかけられた。


「どうしたん?」


「あのね、実は・・・、って
 誰にも言わないでくれますか?」


「え?!何なに?!!」


普段の軽いノリじゃない、
何かがそこにはあったのに、

オレはいつもの口調で返事をしてしまった。


そのオレの安っぽい受け答えに

「あの・・・
 山科さんのことなんですけど・・・。」

言いにくそうに話始めたクミちゃんから
聞いたのは

2週間以上も前に山科から連絡先を渡され、
時々電話してたってこと。