~~~アキラside~~~


「ホテル、行く?」

そう誘われてオレは酷く狼狽した。




だけど、その言葉に続く彼女の気持ちを聴いて、心の底からじんわりと温かいものが溢れてきた。


車を止めたオレは彼女を抱きしめながら言った。



「ありがとう。

オレ、クミちゃんのことちゃんと大切に思ってる。

だけど、やっぱ『誰かが傷ついた上での幸せ』ってないと思うんよな・・・。

だから、オレのわがままかもしれへんけど、最後まではできん・・・。」




その時のオレ達は、オレの嫁を傷つけてはいけないと、おこがましくもそんなことを考えていたんだと思う。




だけど、オレはいつかきっと彼女のことを傷つけてしまうんじゃないかと・・・。





そんな気持ちがよぎったことに、気がついていたんだ。