私にとって姪っ子の節句に親族が集うことはいたって普通の出来事なんだけど、 アキラにとってはそうではないんだ・・・。 そんな風に思えた彼の言葉だった。 アキラの育ってきた環境、 そしてそれを奥さんと乗り越えてきた事実。 二つの意味が交錯して私の知らないアキラの姿が浮かび上がる。 だけどそこに触れることはとても怖くて、 私は、所長の言葉もアキラの言葉も消し去るかのごとく、ぶんぶんと頭を横に振った。