その後は二人とも同じ気分だったようで、選ぶ曲はほとんどがバラードだった。
クミちゃんにリクエストされた曲も数曲あった。
歌っていると、とても熱心に聞き入ってくれている彼女がそこにいて、オレは嬉しくなっていた。
それが、何曲目のことだったかははっきりとは覚えていない。
間奏が流れている時にふいに目が合った。
彼女の瞳の奥にはキラキラと光るものがありオレはすぅーっと引き寄せられていって・・・
思わずキスをしてしまった。
それはもう、すごく長く付き合っている彼女に、普段からしているような自然な流れだった。
けれど不意打ちだったようで、クミちゃんは目をまん丸にして驚いていた。
あんまりにも彼女がびっくりするもんだから、オレも照れてしまって、また二人して笑ったんだ。
