ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~


~~~クミside~~~

目の前を1台、また1台と闇にヘッドライトの光を浮かべては消えていく。


その光の先にウインカーの合図とともに近寄ってくる車が見えた。

すーっと私の近くまできて停まるその車の助手席に滑り込んだ私は

「おかえり」

って言葉をかける。



「ただいま」

って声が聞こえてからようやくチラリと顔を見る。




そこには変わらないアキラの笑顔があって、

「ん?」

って反応してくれる。

その一瞬目が合った。




たったそれだけのことだけど、私はなんだか安心することができた。

というより、もやもやと私の心を占めていたものが、すうーっと引いていくのを感じたんだ。