「本気?」

そんな俺の質問に、



「ずっと山科さんのこと気になってたんです。」

とうつむく彼女。


それが、

彼女が過去の恋愛を振り切るため、
とにかく一歩前に進もうとした結果の
セリフだったってこと、

俺に抱かれることが実は不安なまま、
それでも人肌を求めていた寂しい心の呟き
であったことは、

俺は知るはずもなかった。