そりゃ知りたいに決まってる。
コクコク頷くあたしを見て、じらすようにまたグラスに口を付ける耀太。
こういう所、ホント昔と変わってないと思う。
こっちがひたすらお預けをくらった犬のように、ヨダレを垂らして待っているのに、当の本人は素知らぬ顔で違うことをし始めるんだから。
マジで、ドS!
イライラしながら耀太の横顔を睨みつけていると、やがて、やっぱり昔みたいにものすご〜く上から目線の耀太が言った。
「それは……企業秘密♪」
ガルルルルッ
「教職員には守秘義務があるし」
「教えてくないんなら最初っから気を引く言い方しないでよ!
な〜にが教職員よ!
耀太が担任だなんて、あたしはまだ認めたわけじゃないからね!
だいたい生徒の家で就職祝いしてもらう先生なんて居る!?」
「うん、ここに」
「……なっ…!?」
しれっと自分を指差す耀太に、あたしは口をパクパクさせた。
コイツだけは〜〜!!!
「………でも」
わなわな震えるあたしを知ってか知らずか、もう1度ビールを飲んだ耀太は、次の瞬間にはその表情をがらりと変えていた。
「楓が嫌なら、俺は明日からもうここには来ない。
ご近所さんである前に、一応、担任とその生徒だしな」
こちらに向き直った耀太は、多分、今までで1番真剣な表情をしている。
………えっ…?
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