部屋を出ようとして、ふと綺麗に棚に並んだ香水の瓶が目についた。





それは全ておばさんからのプレゼントで。



匂いに執着というか、あまり関心のないあたしを理解した上で、多分デザイン重視で選んでくれた物。





だから、とにかく容器が可愛いんだ。






ハート型のものやら、ガラス細工のようにキラキラしてるものから、とにかく見てるだけでキュンとしちゃう綺麗な香水たち。






中身は、一応嗅いだけど、なんだかクラクラするだけでいまいちよくわからなかった。






「匂い、ね……」





さっきの耀太の言葉を思い出して、あたしの手は、自然にその1つに伸びていた。





あたしの中で1番のお気に入り(もちろん瓶が)の香水が、まるで開けられるのを待つかのように、手の中で青い光を放っている。





付けて、みる……?





そっとフタを取ると、かすかに匂ってくる甘い香り。




「………う〜ん」





しばらく悩んで、あたしはまた元の場所にそれをそっと置いた。






香水は、まだまだ子供のあたしにはきっと似合わない。





いくら外見を装ったところで、所詮中身は高校生なんだから。






まるでそう、あの浴衣みたいに。





ちょうど下から、「遅いわね?」とあたしを気にする母親の声がして、あたしはわざと扉の音を立てながら閉めた。






耀太がなにを言おうとしたかは不明だけど、うん、お子様のあたしには、シャンプーと柔軟剤の匂いで十分だよ。







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