怒りたいのをぐっとこらえて嵐が過ぎ去るのを待つ。
そんな中、だんだん教室が明るい雰囲気に包まれていくのに気づいた。
笑いは温和な空気を生み出すみたい。
さっきはドアを睨み付けてた男子も、先生笑いすぎ〜と、ツッコミを入れている。
あたしは、自分を犠牲にして耀太を助けた格好になったらしい。
………ちっ…
この借りは必ずいつか返してもらうかんね!
なんてぼやきながらも、あたしもこの心地いい雰囲気に満足していた。
「このクラス、西村先生が言ってたみたいにすっげぇ明るいクラスだな……?
俺もやっと緊張が解けたよ」
目尻に浮かんだ涙を親指で拭いながら、人懐っこい笑顔を浮かべた耀太のひと言で、さっきまで笑い転げてた皆がぴたりと動きを止めた。
変わりに、ほぅとため息を漏らす女の子達。
男子も若干頬を染めてるような……?
そりゃそうだ。
耀太のあの顔は、あたしが昔から知ってるとっておきの顔なんだもん。
人を魅了する笑顔。
見慣れてるあたしでさえ、ドキドキしちゃうような……
本人はそんな自覚はないらしいけど、それが最後の駄目押しになったのは確かだ。
「先生、1年間だけど、よろしくな」
照れ臭そうな淳弥の言葉を皮切りに、皆が次々に歓迎の言葉を口にした。
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