ドアの方も気になるけど、後ろの男子が気になりだして、あたしは何度も振り返った。






相変わらずヒロキ達は、棚にもたれて腕組みしたままドアを睨み付けてる。






まさか耀太が入ってきた途端、ブーイングとかしないよね……?






いくら耀太が図々しいからって、さすがにそれは傷つくかも……






ほんの数秒のことなのに、異様に長く感じるこの時間。





ついにドアに付いた磨りガラスの向こうに人影が見えた時には、あたしは祈るように両目をぎゅっと閉じていた。






来た、来ちゃったよ…!






すぐにキャア…と小さく上がる悲鳴。
それに反応するように聞こえる小さな舌打ち。






あわわわわ……
どうか無事に初めてのHRが終わりますように……!





祈るように組んだ手の平から、汗がぶわっと吹き出すのがわかった。






「はい、席に着いて。
HR始めるから」






異様な雰囲気の中、意外に落ち着いてる耀太の声に、恐る恐る後ろを振り返ると、ヒロキ達が渋々席に戻る様子が見えた。






さすがに高3にもなって、いきなりいちゃもんを付ける気はないみたいだ。





とりあえず、お手並み拝見ってとこらしい。






クラス全員が席に着く様子を見て、あたしはほっと安堵のため息を漏らした。







`