体育館中に轟くほどの奇声を発したあたしは、当然のごとくその場の注目をかっさらった。






なにあれ?みたいな。






でもそんなの気にする暇もないくらい、頭の中が混乱していた。







………まさか…そんな…







次々に訝しげな視線が注がれる中、瞬きさえ忘れて呆然と突っ立ってるあたしの腕を後ろから掴んだ誰かが、






『すみませんっ!この子の頭にクモが乗ってて…取ってきます!』






と言って一目散に近くの出口まで連れ出してくれた。






もちろんそれは事情を知ってる瑞穂で。






マイクを通したわけでもないのに、さすが瑞穂の声はよく通るなぁ…なんてぼんやり考えてるうちに、気づけばここにたどり着いていた。






「マジでしっかりしなさいよ!
騒ぎのおかげで耀太の顔しっかり見れなかったじゃん」





瑞穂の言葉にはっとなる。







……騒ぎ…?


そうよっ!それを起こした張本人のあたしなんて、新学期早々大恥かいちゃったじゃん……!


しかも頭にクモのせてるなんて……





「まあ後で存分見れるけど」と付け足した瑞穂の声さえ、もはやあたしの耳には届いてなくて。






全身にカァァと恥ずかしさが込み上げてくる。








「最悪だ……」






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