新しく赴任してくるといっても、それは新卒ばかりじゃなくて。
早足で現れた柿山先生は、多分40近い。
細身の体にまとったスーツはシワひとつなく。
撫で付けた髪にチタンフレームの眼鏡がよくマッチしてる。
ひと言で表現するならば……
神経質そう。
その証拠に、何かしゃべるごとにずり落ちてもない眼鏡をキュッと上げている姿が何度も目に付いた。
「うわっ…、良かったぁ、あれが担任じゃなくて…」
皆の意見を的確に代弁してくれた瑞穂を振り返ると、眉間にくっきりシワが浮いている。
よっぽど苦手なタイプなのかな……
その顔が面白くて、しばらく瑞穂の表情を伺っていると、
「……最後になりましたが…、僕は主に1年生の担当ですが、質問などあれば気軽に話しかけて下さい」
と締めくくる声が聞こえて、それに「誰が行くか」と小声でツッコむ瑞穂が可笑しくて思わず笑ってしまった。
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