「さっきさ、俺職員室の前で3組の担任とブルが話してるの聞いたんだけどさ……」
黙ってあたし達の会話を聞いていた加藤君に、周りの視線が集まる。
もう失恋から立ち直ったのかな……?
そう思わせるぐらい、普通に見える加藤君。
「5組はやんちゃな奴が多いから先が思いやられますって話してたんだ…。
それって、ブルが担任になるってことじゃないかな?」
「「ええ〜〜〜!?」」
加藤君の話しに、それまで違う話しをしていた子達までブーイングの嵐。
こういうところ、ホント結束力が固いクラスだと思う。
あっという間にクラス中がその話題でもちきりになった。
「ブルが担任なんてこの世の終わりじゃん!」
いつの間にか登校してきてた瑞穂も、不満の声を上げながら参加してきた。
そりゃそうだ。
ブルこと中村先生は、この学年の学年主任。
垂れてる頬がブルドックみたいだから、あだ名がブルなんだけど、とにかく言うことはイヤミばかりで、学校中の嫌われ者なんだ。
「でもさ、3年担任って結構重要ポストでしょ?
ありえる話かもね……」
しっかり者の園子の意見に、誰もが苦渋の色を浮かべた。
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