あの得意げにニヤリと笑った顔が、今でも頭から離れない。
同僚教師……
そんなの考えてもみなかった。
…………って、
別に耀太が女子高生にもてはやされようが、同僚教師に誘惑されようが、あたしには一切関係ないしっ!!
『赴任先が男子高であって欲しいって楓の願望もわかるけどさ、現実はちゃんと見なきゃ、ね?』
追い討ちをかけるように別れ際に言われた台詞。
願望なんかじゃないっつうの!
それしかありえないから言ったのに〜!
そんなことを思い出していると、どんどん腹が立ってきて、自然にペダルを踏む足に力が入る。
シャーーーー
なんとも小気味いい音を立てながら、おかげで普段より早い時間に正門までたどり着いた。
そしていつものように、そのまま駐輪場へと向かう。
もしこの時ちょっとでも職員駐車場に目をやっていれば…
今朝見た黒い車をそこに発見していれば…
新学期早々、あたしはあんな恥をかかずにすんだのに……
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