次にあたしが出会った男は、笠井君とは正反対のツンツン男だった。







出会いはレンタル屋。






あたしがよく行っていた店でバイトしてた人。






『これ、借りるの2回目だけどいいのかよ?』






客であるあたしに向かって何と言う口の聞き方!?






ムカついたけど、教えてくれたのには素直に感謝した。






当時、1話完結のシリーズ物にハマっていたあたしは、どの作品を見たのかいまいち記憶が曖昧で。






『すみません…、あたし、どの作品見てますか?』







『………はぁ??』






恥をしのんで尋ねたあたしに、バカにしたような顔を向けたその男。






諦めて帰ろうと自転車にまたがった時に、いきなり後ろから声を掛けられた。







『ほらよ……』






名札には“坂田”の文字。
手には手書きの一覧表。







『ありがとうございます、坂田さん』






アイツ、名前を呼ばれて心底ビックリした顔してたっけ?






でもすぐに自分の名札に気づいて気まずそうに笑った。






『また、来いよ…』






そう言って、軽く手を上げて去って行く仕種が、少しだけ耀太に似ていた。







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