−−-………






くっ……!
思い出してたら鼻の奥がツーンってしてきた!






もう終わった恋に感傷的になってる場合じゃないってば!






いつの間にか出席を取り終えたにっし〜を、皆が囲んでた。






しっかりしなきゃ!






「あたし達も行こっ!」







まだぼんやりしてる瑞穂の手を引っ張って、あたし達もにっし〜にお別れの挨拶をしに行った。








−−-……あの日、花火の日の帰り道、若菜の情報通り、笠井君はあたしに『付き合って欲しい』と言ってきた。






“失恋の傷みには新しい恋を”






なんかの雑誌に載ってた言葉が頭をよぎった。






『よろしくお願いします』そう言ってぺこりと頭を下げたあたしに、笠井君は照れ笑いを浮かべた。






優しい笠井君。
学校でも人気者の笠井君。





少しずつだけど、あたしも耀太を忘れていくことが出来た。







でも、優しい笠井君は。






誰にでも優しい笠井君だった。






あたしという存在がありながら、クリスマスも誕生日もバレンタインも他の女子からプレゼントを受け取っていた。






告白だってされてたのを知ってる。






運がいいのか、悪いのか、あたしは決定的な場面に遭遇してしまったことがあるんだ。






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