テーブルから抜け出したあたしがこの状況をかいつまんで話すと、俺も白本に…と自分を指さす耀太。
どうやら、これは瑞穂からのささやかな気遣いらしいことに気づいて、あたしと耀太は目を合わせて微笑んだ。
なんとなく2人の間に漂う甘い雰囲気…………って、
呑気にドキドキしてる場合じゃないじゃーーんっ!!
「ねぇ、なんでメール返してくれなかったの?」
「メール???」
いきなり声色を変えたあたしを、耀太はきょとんとした様子で見下ろす。
「気づいてなかったの?」
「あー-……、ていうか、持って来てないんだわ。ケータイ……」
「はっ??」
「車に置いてきたっつうか……」
下から覗き込むように睨むあたしに、たじだじになる耀太。
まあまあまあ、なんて背伸びをしてるあたしの頭を、上から押してきたりなんかして。
「ちょっとぉ、なんで置いてきてんのよっ」
「いや、だから、カラオケには要らないだろ?ケータイ」
まったくもって理解不能。
「社会人たるや持ち歩くべきでしょ!
緊急連絡とかきたらどうすんのよっ」
「そんなたかが3時間で……」
「たかが、ですって!?」
ムキ〜〜〜!!!
実際あたしが緊急連絡(抗議?)したっていうのにっ!
「もう、知らない!」
「はあ?なに怒ってんだよ!?
ってか、そのメールの中身は何なんだよっ」
「べつに気にしてくれなくていいよ!
ただ鼻の下が伸びてる耀太の顔が不細工だ!って送っただけだしっ」
だんだん語尾が荒くなる耀太にそれだけ言い捨てて、あたしは部屋を飛び出した。
耀太のアホーー!!
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