ほほう……
さすがチェーン店。
控室たって結構広いじゃん。
しばらくして、周りを観察する余裕が出てきたあたしは、いっちょ前にテレビなんざあるこの部屋を、くまなくチェックし始めた。
ここが普段は入れない場所だと思えば思うほど、こういうのって結構燃えちゃうんだよね。
………でかっ!?
瑞穂のだと思われるロッカーの扉に、4つ切サイズのラブラブプリクラを見つけた時には、さすがに引いたけど。
コンコン−−
そんな中、突如聞こえた遠慮がちなノックの音に、あたしは心臓が飛び出るほどの衝撃を受けた。
げげっ!?ヤバいじゃんっ!!
部外者のあたしがここに居るとこ見つかったら、とんでもないじゃんか〜〜〜!!
万が一にも泥棒と間違われてもおかしくない状況に、
ドッドッドッ…
心拍数が一気に撥ね上がる。
瑞穂〜〜〜!!どうすんのよ〜〜〜!!
慌てて脱出ルートを捜してみても、目の前に立ちはだかるドア以外、ここから出る方法は見つからない。
こうなったら……
あたしはいちかばちか、テーブルの下へと体を潜り込ませ、息をひそめた。
多分、すぐに見つかるだろうけど……
コンコン−−
コンコン−−
ゴンゴン−−
次第に大きくなる何度目かのノックの後、目の前のドアがゆっくりと開き始めたのを見て、ぎゅっと目を瞑り頭を抱え込んだ。
万事休す!!!
まさにこんな気持ちで。
「……失礼しますよぉ…」
………あれ……?
まさかこの声……
頭上から聞こえた囁くような声に、あたしが顔だけにょきっとテーブルから出すと、
「…うわっ!?楓??
っていうか……地震でもあったのか…?」
そこには驚きつつも、あたしの格好に呆気にとられた様子の耀太が居た。
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