あ〜、イライラする……
一向に返事の来ないケータイをもう一度確認すると、終わる時間までには、まだ悠に2時間はあった。
「なんていうか……、ダルいなぁ……」
堂々と交際宣言しなかったことを、今さらだけど、あたしは少しばかり後悔し始めていたのかもしれない。
と、その時−−−
「あっ!やっぱりここに居た!!」
瑞穂がふいにトイレに乱入してきた。
そしてそのままあたしの手を引っ張ってどこかに行こうとする。
「えっ!?なにっ!!?」
「いいから、いいから」
なにがいいのかわからないけれど、連れていかれてるのは部屋でないことはわかる。
だって向う方向が、真逆なんだもん。
やがて“スタッフオンリー”と書かれたドアの前にたどり着いた瑞穂は、躊躇することなくそのドアノブに手を伸ばした。
「ここで、待ってて」
「へっ!?なに言ってんの?あたしスタッフじゃ…」
いやいや、瑞穂さん?
スタッフであるアナタがここに入るぶんにはいいとは思うけど、あたしは……
「いいから黙ってここにいなさい!」
そう怒鳴られた時には、大きく開いたドアの向こうへと自分の体が押しやられていた。
「ちょっとぉ……」
再び閉じられたドアの向こうから、遠ざかる瑞穂のブーツの足音がする。
つまり、わけのわからないまま、あたしはこの部屋に閉じ込められてしまったわけで。
なんの嫌がらせなのよ〜〜〜!!!
さらにイライラを募らせながら、その場に立ち尽くしていた。
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