あたしはそんなネガティブな考えを振り払おうと、瑞穂と2人、どんどん歌って踊ったりして。
それはそれで有意義な時間を過ごしていた。
だけどね、
やっぱり、気になるわけよ。
隅の方で、1台のリモコンを頭を突き合わせて覗いてる耀太と理恵の姿が。
もともと大人っぽい理恵なのに、今日はベージュのニットワンピにピンヒールのブーツをはいていて、さらに大人の色香がムンムンムン……
あの麻美さんに、ひけをとらない艶やかさ。
その一方で、マラカスを手にステージに上がってるあたしはというと、おばさんにもらったブーツをはいてはいるものの、ショートパンツにターコイズブルーのタートル姿。
いかにも元気いっぱい、アホいっぱいの女子高生って感じで。
誰がどう見ても、あたしより理恵の方が耀太の隣が似合っている、と思う。
2人を視界に捉えては落ち込んで、その度にマラカスジャカジャカ鳴らしてストレス発散して。
歌がバラードになったところで、ようやくあたしはソファーへと引っ込んだ。
もちろん2人からは遠く離れた場所に。
「ねぇ、あれってムカつかない?あたしが間に割り込んでこようか?」
するとすかさず心配そうに向こうの2人に目をやりながら、耳に囁いてきた園子。
「……ううん、いいよいいよ。大丈夫だから……」
そんな園子に心配をかけないよう平気なフリして首を振ると、トイレに行ってくるとだけ言い残して、あたしは部屋を脱出した。
陰湿だとは思うけど、耀太にこっそり抗議のメールをするために。
[ひっつき過ぎじゃないでしょうか……?石橋先生]
バカみたいな嫉妬なのは自分でもわかってる。
でも、あたしも理恵も耀太にとっては元生徒なわけで。
あたしより魅力がある理恵に耀太が惹かれていく可能性だってあるわけで……
………ああ〜もうっ!!
こんな自分が、ほとほとイヤになる。
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