親にこの車を買ってもらったっていうネタは、もうとっくの昔に挙がってんだよ!
観念しやがれぃ!
気づけばあたしは遠山の金さん並の強気な態度で、車に荷物を積んでる耀太の後頭部を睨みつけていた。
あたしのバカ!バカ!バカ!
ケンカはこの前で懲りたはずなのに………
頭の片隅では、相当後悔しながら−−−
この前、とういうのは、ちょうど3週間前にあったクラス会(カラオケお別れ会第2弾?)の日のことで。
瑞穂、ヒロキ、明日香、園子、そしてその付属品淳弥には、あたしから恐る恐るといった感じで、耀太とのことは事前に報告済だったんだけれど。
その他大勢には、どうしても言えそうになくて。
ヒロキにも、『卒業してすぐってのは立場的にマズくない?』と言われ。
あたしと耀太は、あるかどうかもまだわからない次回のクラス会まで、2人の関係は内緒にしておこうと決めた。
それは、付き合ってるということはもちろん、幼馴染みだということも。
だから、わざと行きも帰りも別行動に決めた。
………そこまでは良かったんだよ、うん。
あたしもそうしてくれた方が、気も楽だと思ったし。
「おっ!ようちゃんやっと来た〜〜!まあここ座ってよ」
「ダメ!!ようちゃんはあたしの隣!!ね?ようちゃん」
あたし達が会を始めること15分後、遅れて登場した耀太に、みんながその取り合いを始めた。
………まあ、これも良しとしよう。
耀太が人気者であればあるほど、その彼女に収まったあたしとしても、鼻が高いって話で。
「ちょっと待って!
言い合いしたところで、先生も困ってるでしょう?
ここはクラス委員だったあたしが決めるわ。
先生、こちらに余裕があるのでどうぞ」
突然降って湧いたこの鶴のひと声で、耀太のポジションはなんともあっさり決まったんだけど………
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