ある春の日の昼下がり、あたしと耀太は郊外に新しくオープンしたショッピングセンターに来ていた。





苦手とする人波に揉まれて、帰る頃にはフラフラになってる耀太。





あたしは、春風とは言い難いほどの突風が吹く中、めくり上がりそうになるシフォンスカートを押さえるのに必死で。





やっと停められた臨時駐車場に着いた時には、2人同時にため息を吐き出してしまった。





「ひどい風。一気に疲れたよ……」



「俺は店に入った時からへとへとだ……」



「………」





フン〜だ!
どうせあたしが無理矢理連れて来たって言いたいんでしょ?
自分だってちゃっかりスニーカー買ったくせに……






耀太のぼやきを聞き流しつつ、助手席のドアを開けた。




途端にゴォォと吹き付ける春風。





「きゃあっ…!」






風に煽られ予想以上に開くドア。
すぐ横には大木の幹。





ヤバッ!ぶつかるっ!




と、思った時には、あたしはギュッと目を閉じていた。






`