「なぁ、楓のは何て書いてあったんだ?」



「まだ見てない。ヒロキは?」



「秘密〜〜〜」





自分から話を振っておきながら、白い封筒を大事に胸ポケットにしまい込んだヒロキは、ニヤリと笑って小声で囁いた。




「告白、今日だよな?頑張れよ」




あたしはすぐに返事ができず、俯いてしまったけれど、肩をポンポンと叩いたヒロキの温かさに、じわりと心が潤う感じがした。




「ありがとう。ヒロキと出会えて、本当に良かったと思ってるから。
今まで、色々お世話になりました」



「これで最後じゃないからな。今度からは、楓に短大の女の子紹介してもらう気でいるから。
こっちこそ、お世話になりますぅ」



「もうっ、ヒロキってば……」



「そんなにむくれるなよ。
でも……、マジで頑張れよ」



「うん……ありがとう……」




本当にありがとう、ヒロキ。
こんなあたしを好きになってくれて……




その背中に改めてあたしが感謝していると、いきなり後ろから伸びてきた手が、あたしが大事に胸に抱えていた白い封筒を奪った。




「あれ!?アンタまだ見てなかったの?」



「返してよ、瑞穂!
一人でこっそり見るんだから……」



「えぇ〜〜〜!?つまんない。
あたしには見せてよ、親友でしょう?」





言いながら、瑞穂が封筒を開けていくのを、寸でのところで阻止し、





「ダメ!!あとで見せてあげるから……」





あたしはそのまま、トイレへと脱走した。






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