「正月あたりは飲み会続きだったし、冬季講習中は午前中で家に帰って仕事してたし……
学校が普通にあれば、学食なり店屋物なり食べるんだけどな。
自炊するぐらいなら、食べない方がマシかなぁ、なんて……」






バツが悪そうに、ぽつりぽつり自分の食生活を語る耀太。




とどのつまり、ここのところずっと昼ご飯抜きの生活をしていたみたいで。





「そんなことなら、お昼もウチに来ればよかったのに……」



「だな。今はつくづくそう思ってるよ。
風邪ひいたのだって、多分、栄養不足からだ……
だから未来の栄養士さん、こんな俺に、なんか栄養あるもの食わせてくれませんか?」






呆れたはずなのに、その上目使いが恐ろしく可愛くて、思わずよしよし頭をなでてあげたあたしに、目を細めて喜ぶ?耀太。






これよ、これ。
このシチュエーションこそあたしが目指してたものだったのよ!




もう不謹慎でもなんでもいいから、




大声で“看病バンザイ!!”って叫びたい気分!





「すぐ作るから待ってて!!」




従順な犬並に、あたしは妙なハイテンションで台所へと駆けこんだ。






そして作る前に、今見たレアモノ耀太を、もう一度噛みしめようとしたその時−−−





……???




………あれ…?なんで?






なぜか自分の唇から、耀太が完食してしまったはずの“はちみつレモンパン”の味がして、ひとしきり悩んでしまった。






「…………」




まあ、いっか………




さ、おかゆ♪おかゆ♪




栄養補給♪栄養補給♪









そんなあたしの様子を、耀太がこっそりリビングから窺っていたとも知らずに………








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