寒い体育館でのありがたい?校長の話も終わり、再び教室に戻ってくると、あたしと瑞穂はお互いのバイトの様子をコソコソと小声で報告しあった。





あたし達進路決定組は、今日からは3週間に1度くらいの割合で学校に登校するだけで、あとは卒業を待つのみとなる。
だからほとんどの子がバイトしているみたい。





それはそれで寂しいのだけれど、今やクラスが進路決定組と未定組に二分してる状況も辛いわけで。






園子も淳弥も笑ってしゃべってはいるけど、やっぱり目前に押し迫ったセンター試験が気になるのか、時折、疲れてるような厳しい表情を浮かべている様子に、こちらもついつい目が行ってしまう。





あたし達にはどうすることも出来ないことだけど、せめてこういう気遣いはしなきゃダメだよね。





「店長がさ、暇な時は部屋で自由に練習していいって言ってくれてさ、昨日も2時間ワンマンショーよ」





そう言ってニヤニヤ笑ってみせる瑞穂は、実はあたし達が行きつけにしていたカラオケ屋でバイトをしていたりする。




ちなみにこの前のオーディションは、2月にならないと結果がわからないらしい。





「あたしなんてパンの食べ過ぎでさ、1キロ太っちゃったよ」





これ、あたしね。





あの次の日行ったパン屋さんの面接で見事採用されたあたしは、お正月休み以外は朝から夕方までそこでバイトし、その後教習所通いというなんともハードな日々を送っている。





受験勉強していた時よりも過密スケジュールになってしまったけれど、結構毎日が充実していて、これが巣立ちの準備なのかな、なんて最近では思ってみたり。






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