それから2人で他愛もない話をしながら、少し離れた距離を保ちつつ夜道を歩いた。





それは、さっきまでの耀太とは打って変わって、かなり普段通りの距離で。





あたしとしても、自分の気持ちを抑えるためにはちょうどいい距離だった。





ところ所イルミネーションされた住宅街は、気を抜けば、また自分のテンションを盛り上げてしまう威力を持っているように見えるから。






あたしの家が目と鼻の先へと近づいた時、前を行く耀太が思い出したように話し出した。





「そういえば、明日ってなんか用事ある?」



「えっ……」



「おかんがさ、叔母さん家まで連れてけってうるさいし、ついでにまたカンタ連れてどっか行こうと思って……」



「明日なら…」





“空いてるよ”と言いかけて、あたしは咄嗟に口をつぐんだ。





明日は……ヒロキと……





ううん、せっかくだし、行くの断る……?
あの夏以来、結局カンタにも会ってないし……





というより、ヒロキと居るより、耀太と居たいな……
だって明日はクリスマスなんだもん……!





ヒロキに断りの電話をしようか悩むあたしに、もう一人のあたしが囁いた。






ダメダメ!
ヒロキの気持ちをちゃんと受け止めるって決めたんでしょう!
今さら拒否したら、アンタは正真正銘の鬼だよ!






………ああ、どうしよう…




よりによってこんな日に、こんなダブルブッキングは酷すぎるよ〜〜!!







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