いやいやいや。
あたし自転車ですから!



自転車で自転車を送る気?



なんのために?



わざわざこのクソ寒い中、自分家の近くからウチまで来る意味がわかんないんですけど!?





なんて言葉は、もちろんヒロキには伝えられなかった。
だってさっさと帰っちゃったんだもん。





ホント、意味不明。





ヒロキってたしか専門学校志望だったよね……?
それって試験とかないのかな?





とにかくわからないことだらけで、残されたあたしの頭の中は大混乱。





だから帰って来ちゃったんだけど……





部屋でゆっくり考えてもみても、意味不明なのには変わりない。





こんな時に限って相談相手の瑞穂は風邪で寝込んでるし。





どうしたもんかと悩むあたしの頭に浮かんだ人物。





そうだ。
耀太に確認してみよう。
ヒロキには試験がないのか。




あったらそれを理由に断ればいいし、もしなかったにしても、バイトを理由に帰ったぐらいだから、あたしに構ってる暇はないんじゃないかと思う。





耀太に聞いたところで全てがすっきりするとは思えなかったけれど。





出来ることはそれくらいしかなくて、大人しく、勉強しながら耀太からの“今から帰るメール”を待つことにした。





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