あたしもヒロキを見て、同じように笑みがこぼれる。
でも、すぐに表情を引き締めて頭を下げて謝った。




「ううん。あたしが皆を騙してたのには変わりないんだし。
こっちこそ、余計な心配かけてごめんね?」





この時は、こんな場所に連れてきたヒロキの気持ちが、なんとなくわかった気がして、ホントに申し訳なく感じたんだ。




先生と生徒で付き合ってるのに、昨日のあたし達には危機感が足りないって、こっそり警告してくれるつもりだったんだよね?



なんとも面倒見のいい、ヒロキらしい行動だよって。





「楓……!」





頭を下げたあたしを見て、少し焦ったように名前を呼ぶヒロキ。






「誤解して欲しくないんだけど、お前達を心配してとかじゃなくて、ただ俺の気持ちがすっきりしないからこんなこと聞いたんであって……なんていうか……」



「わかってる。こう見えてあたしはヒロキの優しさには毎回感謝してるんだよ?
前カレで悩んでた時だってそう。
ヒロキにはずいぶん励まされたもん。
ホントに、ゴメンね。
いつまでも世話のかかるクラスメートで」





あたしが言い終わらないうちに、目を見開いて驚いた顔をしてみせたヒロキは、首をブンブン横に振って、そんなんじゃねぇんだよと困ったように呟いた。






「………ヒロキ?」



「あのさ……」






この後ヒロキは、思いもよらない提案を口にし、あたしを再度困惑させることとなる。






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