そんなあたしをじっと探るように見つめ続けていたヒロキだけど、何かに納得したように、今度は小さく頷いた。



「やっぱり…楓は隠しごとが出来そうにないタイプだよな……
なのに……なのに、なんであんな嘘ついたんだ?」





「………嘘、と言いますと…」



「始業式のクモのことも……」




始業式……ああ、クモってアレのことね……
そういえばあの日もヒロキは何か言いかけてたけど、コレのことだったのかな?
実は小さかったのに、瑞穂が大袈裟に騒いだって言えばいっか……




ビビりながらも適当な言い訳を見つけて、ちょっぴり安心した気持ちであたしは次の言葉を待つ。




「石橋と付き合ってることも……」




…………はい??????




「付き合って、る……?」


「そうなんだろ?昨日も迎えに来てたじゃねぇか、予備校に」




ええええええええ!?!




「な、なんでそれをっ」


「たまたま見てたんだよ、あのタバコ屋の斜め前のコンビニから」




コンビニ……?
んなもん、あんなとこにあったっけ?



「っていうか、正確に言うと、潰れたコンビニの2階からってことなんだけど」



「潰れたコンビニ………」




言われてみれば、そんなもんがあったような………




「そこさ、ウチなんだわ。今は店自体は大通りに移動してっけど、家は昔のまんま」




とにかくここまで言われて、人違いだとかそんな言い訳はもうヒロキに通用しないことは理解した。



けど………




どこまで言うべき?




近所なこと?
幼馴染みなこと?
あたしが片思いしてること?




考えあぐねた結果、あたしは一番手っとり早そうで、それでいて、なんとなく説明のつくような言葉を見つけた。




「実は……、石橋先生とは……」






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