予備校の授業も無事に終わり、外へと続く玄関まで来て、あたしは自分にも予知能力があったことを知った。




真っ暗な外は、予感的中!?みたいな雨が降っていて。




もちろん傘なんてモノはなく、車で迎えに来てくれる殊勝な親の姿も、あたしにはない。




今頃2人して、ビールでカンパ〜イ♪やってるんだろうしね。




とほほ……こんな予知能力は欲しくなかったよ……




途方に暮れて、迎えに来た車に次々と乗って行く子達を見ていたあたしのポケットが、わずかにブルブル震えだした。




…………おっ!?



胸にかすかに過る、大きな期待。






でもね、現実ってそう甘くはないんだよ。




「もしもし……」



『もしも〜し、楓か?
なんだよ、その不機嫌モードは……』




あたしがブルーになりながら出た電話の相手は、耀太だった。




ホントなら泣いて喜ぶとこだろうけど、なにせ相手は学校の教師なわけで。




視界にチラチラ入る同じ制服を着た子達に、会話してるのがバレるんじゃないか……、みたいな要らぬ想像をして、自然に顔が強張ってしまう。




「どうしたの?こんな時間に。
お弁当ならお母さんが…」






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