「そう……クリスマス……
で、楓ちゃんはなんて答えたの?」



「ウチは生粋のクリスチャンだから、教会に1日中篭りますって言いました。
嘘ですけど……」






ペロッと舌を出したあたしを見て、少しだけ難しそうな顔をしてた千夏さんは、一瞬でその表情を緩めた。





「よかった……」



「??……何がですか?」



「あっ、いいのよ、こっちの話だから。
ほら、そろそろ戻らないと、5時間目が始まっちゃうわ。
そうだ、あたしも職員室に用があったんだわ。
一緒に出ましょうか?」






またもや早口になった千夏さんを不思議に思いながらも、あたしもその後ろに続く。





鍵を掛けた千夏さんは、またお菓子作ったらコレで呼び出すわね、と顔の横でケータイを振ってみせてから、少し足早に職員室へと上がる階段の方へ姿を消した。






「な〜んかヘンなの……」





あたしは首を傾げてしばらくその場にぼんやり突っ立ってたんだけど、小走りで横をすり抜けて行った2年生の『ヤバい!遅れる!』って言葉にはっとさせられて、自分の教室へと足を向けた。






まさか千夏さんが慌てて向かった先が、職員室ではなく化学準備室だとは露とも思わずに………







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