あたしが一人照れていると、




「告白、か………」




クッションを胸に抱えて、どこか切なげにそう呟いた瑞穂。




そんなの見たら、やっぱり親友として放ってはおけないでしょ。





「しないの?瑞穂は」



「えっ!?なんの話?」



「なにしらばっくれてんのよ。
香住君に、コクんないのかって聞いてんの」



「えぇっと……、あたしさっき、なんか言ってた………?」





どうやら本人は、声に出していたとはまったく気づいてなかったようで、瑞穂は一人焦った表情を浮かべている。





…………ったく…
あたしも相当重症だけど、瑞穂も同じくらいヤバそうなんじゃないの……?




あたしは、今まで散々耀太の相談に乗ってくれた親友に、恩返しのつもりで、彼女の久し振りの恋を今度は自分が応援してあげよう、と決めた。






実は最近、あんなに恋愛に臆病になってた瑞穂が、ブラウン管の中ではなく、実際に触れられる人に恋をした。




その相手が、香住君。




同じ予備校に通う他校の生徒で、あたしは同じ授業を受けたことがないけれど、瑞穂が受けてるハイレベル英語という授業で、一緒なんだとか。




以前ちらりとだけ見えたその姿は、アイドル好きの瑞穂が好きになるだけあって、可愛い顔をしていた、と思う。





瑞穂いわく、




『雨の日だろうと、自転車で帰って行くし、絶対マザコンではないはず!』
(親が迎えに来ない=マザコンではない、と思ってるらしい)




なんだとか。




とにかく最近の瑞穂は、その英語の授業がある日はわかりやすいぐらい張り切っている。





まさに、恋する受験生って感じ。







´