………気のせいだったのかな…?
うん、気のせいじゃない?
耀太の心臓が、あたし相手にバクバク鳴るはずないしね。
そんな自問自答をしながら、いつの間にか芝生をプチプチ抜いていたあたしの手には、青々とした芝生がもっさり乗っていた。
後ろには、耀太の気配。
そうだ……!
振り向きざま、それをフワッと投げてみる。
バカ、耀太!
これ以上あたしを惑わすな!
そんな抗議のつもりで。
「…!?なにすんだよっ!」
「………あっ…!…ぶぶっ…」
前を向いていると思ってた耀太が、意外にも俯いていたから、芝生シャワーをもろにかぶってしまったダークブラウンの頭に、所々緑のモノが混じってて、そのマヌケさがツボにはまってしまった。
「……に、似合うんじゃない?」
「うっせ…!あっ!背中にも入った!」
慌てて立ち上がり服をバタバタさせてる耀太。
カンタもつられたのか、隣でブルルルッと体を震わせている。
「なに2人してコラボってんのよ〜」
あたしはそれを見て、また大爆笑してしまった。
やがて痒みが落ち着いたのか、耀太が再びあたしの前にあぐらをかいた。
「ちゃんと説明するよ、一昨日なにがあったのか。
ただし、俺の名誉に関わる話だから、絶対お前の親には言うなよ?
もちろん、俺んとこも」
そう釘を刺すと、あたしの返事を待たずに、耀太は足に乗せたカンタを優しく撫でながら、少し話しづらそうに口を開いた。
`

