あたしは四つん這いの状態から、なかなか元に戻せない。
というより、腰が完全に抜けてるっぽい。
現役女子高生だというのに、情けないにもほどがある話だ。
「なぁ、いつまでそんな格好してんだよ?」
「う、うるさいっ!」
しかたないでしょう?
動けないもんは、動けないん……へっ!?!
よっこらしょ、という掛け声とともに、自分の体が一瞬宙を舞う。
そしてお尻に再び感じた芝生の感触。
「お前さ、メシちゃんと食ってる?」
「………う…ん」
「んじゃ、もっと食え。
こんなんじゃ、厳しい受験戦争に勝てないぞ」
なぜかあたしの耳元で聞こえる耀太の優しい説教。
なんで?なんで?なんで?
なんて呑気に考えてる場合じゃない。
自分の今の状態……それは、両脇に差し込まれた耀太の腕によって、羽交い締め?されてる感じで。
耀太の吐息が耳に掛かってて、なんというか、ヘンにエロい。
他人から見てもそうなのか、向こうでキャッチボールをしていた高校生っぽいカップルが、頬を染めてこちらをガン見している。
ちょっとぉ……
死ぬほど恥ずかしいんですけど……!?
バクバクバク…-―
ああ、また民族音楽が……
身動きできない全身を駆け巡るアップテンポのリズム。
……………ん?
リズムが、コラボ……してる……?
そう感じた次の瞬間には、背中の温もりがすっとなくなっていた。
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