「なによ……」
なんなのよ。
散々2人のラブラブ話聞かせておいて、最後のオチは結局それなわけ?
「………おい…」
急に口をつぐんで横を向いたあたしを見て焦ったのか、今度は耀太が体を寄せてくる。
「イヤ!こっち来ないで!」
これ以上、近づかないで。
あたし今、きっとひどい顔してる。
若宮先生、可愛いもんね?
男子にも、人気だもんね?
あの物腰の柔らかさ、男なら守ってやりたくなるもんね?
耀太も若宮先生のこと、まんざらじゃないんだ?
友情と愛情、板挟みなのは耀太の方だったってことか……
「楓……?」
「もういいよ。わかったから…」
今はこれ以上いいや。
確実なことを聞いてしまえば、あたしの中のなにかが、すぐにでも崩れてしまいそうで。
時間はかかるけど、耀太のことはまた元の幼馴染みに戻すからさ……
それまではお願い、若宮先生とはただの同僚で居てくれないかな……?
………って、
「ははっ、あたし、ワガママだね………?」
「なに……言ってんだ…?」
「あっ、いーの、いーの。気にしないで。
こっちの話だから……さ」
なんとか笑顔は作ったけど、その反面、涙はすぐそこまで来ている。
だからって、この場で泣くのはどうなの?って話なわけで。
…………よしっ!
「あたし、ちょっと散歩してくるっ……!」
背中を向けて勢いよく立ち上がり、お尻に付いた草を払った。
そしてそのまま右足を出そうと振り上げた時……-――
「待てよ!」
そんな声とともに、急にバランスを失った自分の体が後ろへと倒れていく。
「……うわっ!?」
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