「んで、睡眠をある程度満たされた奴は、今度は腹減ったって言い出してさ。
しかたねぇから、若宮先生と近くのコンビニまで弁当買いに行ったってわけ」
なんとまあ……
「それはご苦労様でした」
「お前さっき祥司が可哀相だとか言ってたけど、一番可哀相なのは俺なんだぞ」
「そりゃごもっともでございます」
フムフム、納得。
またひとつ、誤解の糸が解けていく。
でもその中に、まだ厄介に絡まってる糸がある。
一昨日の夜の2人の光景が。
若宮先生が耀太のアパートを知っていた理由は、来たことがあるからだっていうのはわかったけど。
泣いてたのは、なんで?
倉田さんと別れたわけじゃないし、浮気疑惑も消えた。
なのに………
なんで耀太の前で泣くの?
あたしに無事に話終えたことに安心したのか、今は無邪気な顔して寝ているカンタにチョッカイを出している耀太。
その耀太に、鼻先を草でくすぐられてるカンタ。
可哀相に、寝ながら苦悩の色を浮かべて鼻をピクピク。
対して耀太は、目を細めてニヤニヤ。
こうして見ると、三男坊は確実に耀太の方だ。
その三男坊に、最大で最恐のこの質問をぶつけるか、あたしはまた悩んでしまう。
“若宮先生、どうしてあの夜、耀太の前で泣いてたの?”
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