「おそよう…」






滑り込みで机に着いたあたしの後ろから、どんよりした声が聞こえて思わず肩がすくみ上がる。







「お、おはよ……」







「ん……」







後ろの席の瑞穂は、見るからにどす黒いオーラをまとってて怖い。







この様子じゃ、またオーディション駄目だったのかな……






歌手を目指す瑞穂は『卒業までにはデビューを決めたい』と、これまでレコード会社のオーディションを幾度となく受けている。







そしてこの前も受けたばかり。
でもこの様子じゃ、いい結果ではなかったんだろう。






机に伏せってしまった瑞穂に何て声を掛けようか迷っていると、






「ホームルーム始めるよ〜」






と、さっき階段で追い越した担任のにっし〜が入ってきた。







瑞穂が気にはなりながらも、あたしは席に座り直して前を向いた。








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