あたしの表情でその疑問を感じとったのか、耀太はその時若宮先生と話した内容を教えてくれた。
『あたしが石橋さんの家にお邪魔していた時、この高校の制服を着た子が訪ねてきませんでした?』
『えっ…!?
えぇーと、そうでしたっけ?』
『そうですよ。手作りのお菓子を持って。
あたし達、一緒にごちそうになりましたもん』
『ああ……多分、近所の子ですか、ね…』
『もしかして、その子、今3年生じゃないですか?
学校で何度か似た子を見掛けたことがあるんですが…』
『………いや、あの〜』
『もしよろしければ、その子にあの時作ってきたチョコブラウニーの作り方を教えて欲しい、と頼んでいただけないでしょうか?
甘い物嫌いの祥ちゃん……倉田が、珍しく美味しいって食べてたから』
『はあ…』
「というわけでさ、楓のことは若宮先生にはバレバレだったんだ。
学校では他人のフリしなきゃなんねぇのに、なんか悪かったな……」
マジ!?
若宮先生、あたしのこと気づいてんの!?
「っつうか、なんか反応しろよ……
さっきから俺1人でベラベラしゃべってるじゃねぇか」
なにをーーー!!
アンタが黙ってろって言ったんでしょ!?
とは思ったけど、反論するのは止めた。
それよりも、驚きの方が勝っていた。
耀太の家にチョコブラウニー……?
なんとなく覚えてるような、ないような……?
ってか、お菓子を作った時はだいたい持って行ってたからなぁ……
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