若宮先生が倉田さんの彼女だと判明したのは、2人が同僚になって2ヶ月近く経ってからだった。
たまたま耀太が空き時間に中庭でぼんやりしていると、そこをたまたま通りかかった若宮先生が話しかけてきた。
『たしか石橋さんって、K大理工学部卒ですよね?
もしかして、倉田 祥司と仲良くありませんでした?』
『ええ、まあ。
最近は電話もしてませんけど………』
いきなり質問された耀太は、面食らいながらも当たり障りのない返事をした。
『あたし、倉田の彼女なんですけど、覚えてません?』
『……うぅ〜ん』
『会ったこともあるんですよ?』
一瞬、以前自分の家に連れて来た彼女かとも思ったけど、違った場合がややこしくなりそうだから、耀太はただ首を傾げるだけに留めた。
倉田さんは、いわゆるインテリ系のイケメンで、大学の頃も女友達が数多く存在したらしい。
その中には自分を彼女だと勘違いしてる女も居たという。
その点連れて来た彼女は違う大学に通ってた記憶があり、そこら辺の事情を把握してない可能性があった。
どちらにしても、やたらなことは言わない方がいいと耀太は判断した。
『思い出しませんか?あたし、石橋さんの家にも行ったことがあるんですが……』
『ああ、あの時の……!』
やっとそこで確信を持った耀太は、それから若宮先生と思い出話に花を咲かせた。
ふ〜ん、だから2人は仲良さげにしゃべっていたのか。
…………っていうか、
あたしが若宮先生に会ったのはいつなわけ?
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